魚類学雑誌
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サメ類の研究-VIII. Mustelus griseusの胎盤形成
手島 和之
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1975 年 22 巻 1 号 p. 7-12

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抄録
ホシザメ属のシロザメM.griseusは胎盤を形成する. このシロザメの胎盤を用いて, 胎盤の形成および構造を組織学的に追求した. 妊娠初期における子宮内表面は重層の立方上皮により形成されている.しかしながら, 妊娠が進むにつれて, 子宮内表面は重層より単層円柱上皮へと移行する. 胎盤は胎盤母体部 (子宮壁) と胎盤胎児部 (卵黄嚢壁) により形成される. この両組織の間に胎児膜が存在する. 胎盤母体部上皮は同一子宮の他の部位と比べると極めてうすい. 一方, 胎盤胎児部上皮も同一卵黄嚢壁の他の部位と比べると極めてうすい. 妊娠が進んで, 胎児が全長で150mm以上に成長すると, 胎盤母体部の上皮の大部分が消失する. 同時に, 胎盤胎児部の上皮も同様な傾向を示す.すなわち, 十分に発達した胎盤では, 母体部毛細血管網と胎児部毛細血管網とが胎児膜をはさんで接している.
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