1979 年 26 巻 2 号 p. 181-191
ヤツメウナギ類の角質歯の発生を微細構造的に解明する目的で, カワヤツメの変態前後の幼生と成体を用い, 主に走査電顕により検索した.幼生の口腔内面は, 樹状に分枝した多数の総状突起からなり, これら突起の表面は一面に短い微絨毛と少数の線毛束により被われている.総状突起は, 変態に伴い数が減少し, 先端がまるみをもつ円錐形の突起となる.これと平行して, 口腔粘膜表面の微絨毛は, 渦巻状から網目状の微小堤に変化する.角質歯の発生と萌出は, 大眼期末期におこり, その表面は, 成体同様に微小堤や小孔をそなえている.他の脊椎動物の消化器系にみられる角質化した突起と比較すると, ヤツメウナギの角質歯は構造上高度に特殊化したものと考えられる.