チチブの酸素消費量に及ぼす周囲の他種の魚の影響を調べた。酸素消費量はポーラログラフ酸素電極を用い, 流水式の呼吸室により, チチブの呼吸前後の水の溶存酸素量の差から求めた.呼吸室に入れられた単独のチチブが両側に1個体ずつ配した同じ生息場所の他種の魚に接した場合, ゴクラクハゼおよびヨシノボリでは酸素消費量が増加したが, ボウズハゼではむしろ減少する傾向を示した.これらの違いは食性の違いによるものと思われる.また, ギンブナあるいはカワムツを周囲に配した場合はチチブの酸素消費量はそれぞれ変化がないかあるいは多少減少することがわかった。チチブにみられる, 群よりも単独のときが酸素消費量が少ないという群効果は同種あるいは食性と遭遇可能性の等しい魚種の群に認められるものであろう.