抄録
アメリカ合衆国, ルイジアナ州, Caminada湾で採集された4尾のArius felisの染色体を観察した.実験方法としては, Velban注入後2.5~3.5時間にじん臓およびひ臓を摘出し, airdrying法でプレパラートを作製した。
Arius felisの核型は, 2n=54で26本の中部。次中部着糸染色体と28本の端部・次端部着糸染色体とからなる。
一方, Ariusハマギギ属はDNA量が多く, ギギ科やIctaluridaeのそれに比べて2倍以上ある.しかしながら, 2nは上記2科の魚と比べてほとんど変わらない.このことは, ナマズ類の進化を考える場合, 染色体の倍教化では説明できないDNA量増大のメカニズムの可能性を示唆すると考える。