山口県沖瀬戸内海および佐渡沖の日本海より採集、されたカジカ科魚類5個体にもとづき, 新種フタスジカジカIcelinus japonicusを記載した。本種は, 体の背側面に2列の櫛鱗列を持つこと, 1棘2軟条からなる腹鰭を持つこと, 最後の鰓弓の後に裂孔を持たないこと, 口蓋骨歯および鋤骨歯を持つことなどの特徴から, 従来北アメリカ太平洋岸およびアリューシャン列島周辺だけから知られていたIcelinusフタスジカジカ属 (新称) に含まれることが明らかになった。本種は, 背側の櫛鱗列が長く, 第2背鰭の後縁より後方まで延びること, 鯉蓋下顎管の前端の開孔が1対あること, 頭部背面に棘がないこと, 鼻棘基底に皮弁がないこと, および側線鱗数が本属中もっとも少ないことで, 本属の他の種類と明瞭に識別される.