魚類学雑誌
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佐渡島 (日本海) におけるクサフグの成熟と産卵習性
本間 義治小沢 孝雄千葉 晃
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1980 年 27 巻 2 号 p. 129-138

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抄録

1978年および1979年の両年に, 干満差がわずか20~30cmにすぎない佐渡島北西海岸の相川町吹上浜において, クサフグの産卵習性を観察した。産卵床は砂礫, 小石ないし玉石からなり, 後背地の海岸段丘ならびに田圃から流入する淡水の影響を受けている.産卵期は6月初旬より7月下旬にわたり, ほぼ毎夕日没頃より50分間に汀へ打ち上って放卵放精を行う.したがって, 従来太平洋岸や瀬戸内海沿岸で報告されていたような, 月齢ないし当日の潮位との関係は明瞭ではない.産卵場やその付近では雄魚の個体数が圧倒的に多く, 産卵期の終りには, 雄魚のみによる “偽産卵行動” が観察された。生殖腺指数の変化ならびに組織標本の検索により, 雄魚は6月初旬に, 雌魚は6月下旬に成熟のピークがみられる。しかし, 産卵の盛期は7月初旬であることがわかった。

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