魚類学雑誌
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セダカゲンゲの再記載
豊島 貢
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1981 年 27 巻 4 号 p. 296-300

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抄録
セダカゲンゲ属, Lycozoarcesは左右の鯉膜が広くゆ合し, 峡部を横切る被褶を形成することおよび腹鰭があることにより特徴づけられる.
本属に, L.regani Popov, 1933およびL.hubbsi Popov, 1935の2種を認める意見 (Taranetz, 1937;Lindberg and Krasyukova, 1975) とL.reganiL.hubbsiのシノニムとする意見 (Schmidt, 1950;松原, 1955) があるが, いずれの場合もその根拠は明確ではない.
本研究では, オホーツク海から得た雌2個体, 雄2個体の標本をもとに上記2種の有効性について検討した.その結果, 2個体の雌はL.reganiに, 2個体の雄はL.hubbsiに一致した.つまり, これまで記載されてきたこれら2種の相違は二次性徴によるものである.

L.reganiはL.hubbsiよりも早く記載され, しかも短いが明瞭な記載と図が与えられているので有効である.そこで, 本研究では, これまでL.hubbsiに与えられてきた和名をそのまま採用し, 本種をL.regani Popov, 1933セダカゲンゲとして記載した.
なお, オホーツク海沿岸の北見枝幸沖からの標本は本種の日本初記録である.
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© 日本魚類学会
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