1983 年 30 巻 3 号 p. 291-296
オーストラリア北西岸沖, 小笠原諸島近海およびミクロネシア北部海域から得られた6個体のスズキ亜目魚類は南太平洋とカリブ海から報告されているScombrosphraena oceanica Fourmanoir, 1970と一致した.一方, Scombrosphyraena oceanicaとキューバ沖から報告されたSphyraenops bairdimus Poey, 1858~61 (新称: トゲメオキムツ) は酷似しており, 種レベルでの相違は見出せなかった。従って, これら両種を同一種とみなし, Scombrosphyrama oceanicaをトゲメオキムツのジュニア・シノニムとした.
トゲメオキムツは前上顎骨の柄状突起が退縮していること, 主上顎骨の後端が尖っていること, 涙骨の眼窩縁が鋸歯状になっていることや鰓条骨が6本ある等の特徴の組合せで他の原始的なスズキ亜目魚類から区別される.
小笠原諸島近海から得られた1個体のトゲメオキムツは本種の日本初記録である.