1984 年 31 巻 1 号 p. 1-4
スミクイウオ属, Synagropsの新種S.trispinosusをカリブ海とその周辺海域の水深180-540mから得られた標本に基づき記載した.本種は本属の他種とは, 腹鰭棘前縁が鋸歯状であること, 第1背鰭が8棘, 第2背鰭が1棘10軟条であること, 臀鰭が3棘8~9軟条 (普通9軟条) であること, 有孔側線鱗数が46~51 (平均48) であることにより容易に区別できる.
スミクイウオ属はスズキ科の中で臀鰭棘が2本であることが重要な形質のひとつであるとされてきた.しかし, 本種のように, 臀鰭棘を3本もっていても, 他の形質でスミクイウオ属に含ませるのが妥当と考えられるものが出現した.近縁属を含め, 分類学的な再検討が必要である.