抄録
北太平洋に広く分布するスチールヘッド・トラウトとカムチャツカン・トラウトの年齢組成, 成長, 性比及び生殖巣の発達を日本のサケ・マス調査活動を通じて得られたデータをもとに比較検討した。このうち, 性比と生殖巣の発達程度には水域・時期による大きな違いが認められた.特に, カムチャツカン・トラウトが卓越して分布するとみられる西よりの水域ではすべての季節を通じて雌の出現頻度が高いことから, 両種では雌雄の降海性に違いがあるものと考えられた.検討した諸特性に基づき, 北太平洋における両種の分布域や回遊経路についても考察を加えた.