魚類学雑誌
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日本産軟骨魚類のライディヒ器官とエピゴナル器官の比較組織学的研究
本間 義治岡部 和之千葉 晃
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1984 年 31 巻 1 号 p. 47-54

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抄録

ライディヒ器官とエビ.ゴナル器官は, 軟骨魚類に特異的に存在する造血器官である。これら両器官の種間における差異を明らかにするため, 5種について, 外形と構成細胞を光学顕微鏡ならびに電子顕微鏡により比較検討した。用いた種はホシザメ, ドチザメ, トラザメ, アカエイおよびコモンカスベである。エピゴナル器官と生殖腺との接触の状態は, 3型に大別できるが, ライディヒ器官には明瞭な種問差がみられない.ホシザメやドチザメのエピゴナル器官は, 生殖腺の中程よりはるか後方に延び, 直腸腺にまで達していた。したがって, サブゴナルという名称の方がふさわしい状態にあった。5種共に, 両器官はいずれも大半が種々の発達段階にある好酸球から成り, その他少数の好異球, リンパ球, 形質細胞なども存在する。さらに, 若干のリンパ芽細胞ないし芽球の外, 上記果粒球から由来したと思われる大型空胞をもつ退化中の細胞も見出された。また, 従来胸腺にのみ存在することが知られていたハッサル小体に極めて良く似た構造が, アカエイとコモンカスベにみられた。上述の細胞構成から推察して, 軟骨魚類における両器官の免疫応答や炎症過程に果す役割が追求されねばならない.

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