魚類学雑誌
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スナヤツメの成長に伴う内部諸器官の組織学的変化
常木 和日子大氏 正己
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1984 年 31 巻 2 号 p. 167-180

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抄録
スナヤツメの成長過程において, 生殖腺, 口腔, 鯉, 食道, 唾液腺, 腸, 肝, 腎, 脂肪柱 (原始骨髄), および眼にみられる組織学的変化を調べた.全長7~9cmの個体の生殖腺は, 一様に若い卵母細胞で占められていた.その後, 雌では卵母細胞がそのまま成長を続けたが, 雄では卵母細胞が退化し, 少数の残存末分化生殖細胞から精巣が分化した.性は全長12cm以上の個体では, 容易に決定できた.爾の分化は, 変態の第5期で始まった.成体型の食道と唾液腺も第5期で形成された.一方, 成体型の肝は第3期で形成された.腸と腎は変態期の問に退化した.幼生の造血巣は, 腸管内縦隆起 (原始脾臓) と腎の細尿管の間隙にみられたが, 成体の造血巣は脂肪柱であった.幼生の眼は外部からでは見えないが, 網膜はすでに分化していた.
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© 日本魚類学会
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