魚類学雑誌
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カゼトゲタナゴとスイゲンゼニタナゴの初期発育過程
鈴木 伸洋日比谷 京
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1984 年 31 巻 3 号 p. 287-296

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抄録
カゼトゲタナゴとスイゲンゼニタナゴの卵発生ならびに前期仔魚の発育について経時的に観察し併せて, 両種の個体発生の比較を行った.カゼトゲタナゴの卵発生ならびに前期仔魚の発育経過および発育形態は中村 (1969) の報告にほぼ一致した.スイゲンゼニタナゴのそれもカゼトゲタナゴに酷似し, 22℃ の飼育下では受精後約46時間から孵化を開始し, 浮上期に達するのにほぼ24日を要した.この期間の本種の個体発生は卵黄嚢の変化した1対の突起 (翼状突起) が発達することと, 卵黄嚢の前端部が下方へ突出して突起を形成することが特徴である.このことから本種は, カゼトゲタナゴに極めて近縁な種類であると判断された.
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