魚類学雑誌
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沖縄島で捕獲されたサバヒーの成熟個体
金城 清昭安里 周作
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1985 年 31 巻 4 号 p. 434-437

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抄録

約20個体の大型のサバヒーが, 1983年5月27日に沖縄島の中城湾内の定置網で捕獲された.このうちの3個体を調べたところ, 全長97.0~103.5cm, 体重9.08~12.91kgで, 最大のものが雌, 最小のものが雄であった.他の1個体は解剖しなかったが, 肛門部分の形態から雌と考えられた.雌はよく成熟した卵巣を持ち, その重量は1, 0659であった.卵巣卵のうち長径0.20mm以上の卵を測定したところ, 卵径頻度分布は0.30~0.35mmと0.85~0.90mmにピークがみられる2峰型を示した.しかし0.20mm未満の卵も数多く見られたことから, 卵巣卵径頻度分布は3峰型を成すと考えられた.また長径0.65mm以上の卵教は.3, 528, 000粒と推定された.雄は腹部を圧迫すると放精し完熟状態で, その精巣重量は4609であった.
沖縄島周辺やさらに北の種子島などではサバヒーの後期仔魚が普通に見られることと以上の観察から, 沖縄島周辺でサバヒーが産卵することは, ほぼ確実と考えられる.

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