魚類学雑誌
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魚類脾臓の腹窓法による直接観察およびその運動時ならびに酸素欠乏時のブリへの適用
山元 憲一板沢 靖男小林 博
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1985 年 31 巻 4 号 p. 427-433

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抄録
ブリ (尾叉長約34cm, 体重約6309) の右側体壁の脾臓と対応する部位に窓 (約6cm× 約1.3cm) を開き, 脾臓の全側面が見えるように腸管に被われている部分を引き出し, 無色透明のポリエチレン・フィルム (厚さ0.8mm) を体壁に縫合して脾臓観察用の腹窓を作った.魚を呼吸実験に常用される水槽に収容し, 4~6時間後より実験に供した.魚はこの状態で水温14℃ で14日以上, 26℃ では3日以上生存した.脾臓長は腹窓を通して撮影した写真を基に測定した.
脾臓は正常状態では鮮紅色で, 長さ約6cm/kgであったが, 激しい遊泳運動および著しい酸素欠乏下では暗赤色で, 約4cm/kgに収縮した.脾臓長のこの収縮は, 脾臓重量および脾臓中ヘモグロビン量のそれぞれ60%以上および70%以上の減少に相当し, 脾臓中の貯蔵赤血球がそれだけ循環血液中に供給されて血液の酸素摂取能力が著しく高められたことを示している.
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