魚類学雑誌
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ウエキゼニタナゴの卵発生と仔魚の発育ならびに仔魚の表皮上小突起
鈴木 伸洋秋山 信彦日比谷 京
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1985 年 32 巻 1 号 p. 28-34

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抄録
ウエキゼニタナゴの卵発生と前期仔魚期の発育について経時的に観察し, 併せてこれら仔魚の表皮上に存在する小突起についても観察した.22℃の飼育下では受精後約46時間から艀化を開始し, 浮上期に達するのにほぼ24日を要した.この期間の卵発生ならびに仔魚の発育形態はカゼトゲタナゴとスイゲンゼニタナゴのそれに類似したが, 卵黄嚢が細長くこの後端が下方へ突出することが近縁種とのよい区別点となる.本種の仔魚は卵黄嚢がよく発達した翼状突起をもち, この表皮上には高さ約3~10μmの半球状の小突起を備える.これは鈴木・日比谷 (1984a) が報告したRhodeus属 (ニッポンバラタナゴ・タイリクバラタナゴ・カゼトゲタナゴ・スイゲンゼニタナゴ) の仔魚に共通してみられる形質で, タナゴ類の系統発生上の重要な形質の一つと考えられる.また同時に, 上記・Rhodeus属の仔魚には翼状突起と体前部を除く表皮上に退化的な小突起が存在するが, 本種の仔魚ではこれが多数存在しかつ高さも3~5μm程度で大きい.
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