1987 年 34 巻 3 号 p. 286-290
黄海の韓国・中国沿岸の浅海域から得られたネズッポ科ネズッポ属魚類の1新種Repomucenus koreanus (新韓国名: Ch'am-Tot-Yangtae;新中国名Chao-xian-xian, 朝鮮鮨行) を記載した.本種は前鰓蓋骨と頭部側線系において, 日本産ネズッポ属のハタタテヌメリR. valencienneiとヌメリゴチR. lunatusによく似ており, それら両種と近縁であるが, 以下の形態的特徴で区別される.1) 背鰭は4棘10軟条, 臀鰭は10軟条, 2) 脊椎骨数は7 (腹椎) +15 (尾椎), 3) 雌雄ともに第1背鰭は小さく, 背鰭棘は糸条にのびない, 4) 第1背鰭は雄では全体に淡暗色で各鰭膜中部に白色の長円形の斑紋があり, 雌では前半部が透明で後半部が黒褐色, 5) 成熟した雄の体側中部には1本の暗褐色縦線がある.本種は黄海沿岸からしか採集されていず, 黄海固有種と思われる.