抄録
柳川市を流れる矢部川水系二ツ川に生息する6種のタナゴ類の分布を1976年に調査した.本水路の上流部は流水域であり, 下流部は静水域である.ヤリタナゴ, セボシタビラ, カネヒラそしてカゼトゲタナゴは水路の流域を広く使用していた.アブラボテはより好流水性であり, ニッポンバラタナゴは主に静水域に生涯生息する.繁殖期には, ニッポンバラタナゴを除くすべての種類が二枚貝類の多い中流域で主に産卵するものと推定された.完熟卵を保有しないヤリタナゴ, セボシタビラそしてカゼトゲタナゴの成雌は下流の静水域に集合していた.これらの種とカネヒラの幼魚は下流域で成長し, そして繁殖期までに産卵場に遡上するものと推察された.6種のタナゴ類の生活様式を系統的類縁関係をもとに比較したところ, 同一の類縁群内の種問では異なる生活様式の組合わせを持っことが分った.