魚類学雑誌
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イソバテングにおける体内配偶子会合および体外受精の実証
宗原 弘幸高野 和則古屋 康則
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1991 年 37 巻 4 号 p. 391-394

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抄録

交尾型カジカ, イソバテングBlepsias cirrhosusの配偶子がいつ, どこで会合し受精開始するかを明らかにした.排卵した雌の卵巣腔から卵と卵巣腔液を取り出し, 一部の卵を海水または卵巣腔液に浸し, 24時間後にそれぞれの胚発生状態を観察した.その結果, 海水中の卵のほとんどは胚発生を開始していたが, 卵巣腔液中の卵は全く発生しなかった.しかし, これらの未変化の卵を海水に移すと, その多くが胚発生を開始した.また, 海水に浸す前の卵を光顕観察した結果, 多数の精子が卵門管内に侵入しているものの, 卵細胞質内への貫入は認められず.卵も第二減数分裂の中期にとどまっていることが確認された.以上の結果から, 本種では体内で両配偶子の会合は終えているが, 受精は産卵後海水中で開始することが明らかとなった.

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