魚類学雑誌
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日本初記録の2種のダルマガレイ科魚類, ミツメダルマガレイ及びニテンナガダルマガレイ
尼岡 邦夫岡村 収吉野 哲夫
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1992 年 39 巻 3 号 p. 259-264

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抄録

2種のダルマガレイ科魚類, ミツメダルマガレイGrammatobothuspolyophthalmusとニテンナガダルマガレイ (新称) Arnoglossustopeinosomaが日本から採集された.
前種は沖縄本島近海で刺網によって捕獲され, 知念魚市場から7個体得られた.本種は体側に3個の明瞭な眼状斑があること, 両眼間隔域は狭くくぼむが, その幅は雌雄で差が無いこと, 背鰭の前10軟条は伸長し, それらの軟条の鰭膜が深く切れ込み翼状を呈することなどによって特徴づけられる.本種には胸鰭の長さ (雄では雌よりも長い) 以外にも, 二次性徴が存在することが判明した.雄では背鰭伸長軟条は雌よりも長く, それらの後縁の鰭膜 (翼) は雌よりも広い.また, 雄には上眼の上方に2個の染色体状の暗色斑紋がある.インド洋からマレイ半島を経てオーストラリアや南シナ海までの分布が知られていた.
後種の5個体は高知人学調査船「豊旗丸」のビームトロールによって土佐湾の水深45-75mから採集された.本種は背鰭と臀鰭の後部の基底にそれぞれ1個の大きな黒色斑があること, 背鰭の前4軟条がよく伸長することなどによって特徴づけられる.本種にも二次性徴が存在し, 雄の背鰭伸長軟条は雌や未成魚よりも長い.本種の分布はペルシャ湾から南シナ海までであった.
今回の両種の記録は分布の北限であり, 日本から初めてである.

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