この研究は春季に於ける三本松、坂手、安田、福田等の4漁場に出現するマダイの最多漁獲群に対し、高松、徳島、和歌山、洲本、大阪、神戸、岡山等の7ケ所に於ける日照量が及ぼす影響について調査したもので、その大要は次の通りである。
マダイの最多漁獲日の到来の遅速が、±1日間であつた場合に、6月1日から翌年4月23日に至る平均326日間に、マダイの最多漁獲群が、自然の光を毎日浴ている時間は、平均343.1分間で、その日変異は、±4.2分である。そして2月1日からその年の4月23日に至る平均81日間に、平均323.7分間毎日光を浴びており、その日変異は、±10.5分であることが判つた。
而してこの日の遅速の生ずる原因は、マダイの生殖腺の発育活動に対し、日照時の長さが影響する結果であることが発見された。
かくてマダイの最多漁獲群の回游の経路が、最多漁獲日の出現期と日照時間の長短とを照し合すことにより窺知出来る。
ところでマダィの最多漁獲群の産卵涸灘運動を起す遅速の生する原因は、先す日照量の多少に影響され、次で漁期の水温に支配されるということが判つた。