魚類学雑誌
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ヌマチチブの性的二型
増子 勝男山根 爽一
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1993 年 40 巻 3 号 p. 363-368

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抄録

茨城県北浦で1990年に採集したヌマチチブTridentiger kuroiwae brevispinis 225個体の性的二型を分析した.成熟雄の平均体長は成熟雌よりも大きく (54.2vs.42.4mm), また, 成熟雄の頭幅と口幅, 第一背鰭第三棘長, 尻鰭軟条長の体長に対する相対長は成熟雌よりも有意に大きかった.特に, 第一背鰭第三棘の相対長の性差は, 成熟雄と雌の間で最大で (0.20vs.0.14), これは, 雄の第一背鰭第三棘が成熟にともない強い相対成長を示したため生じたものであった.室内水槽でのヌマチチブの繁殖行動のf備的観察から, これらの形質は雄の繁殖上, 求愛や雄同七の闘争において重要な役割を果たしていることが予想され, 結果として, 雌雄の繁殖成功率に影響を与える可能性が示唆された.

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© 日本魚類学会
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