耳鼻咽喉科免疫アレルギー
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原著
青年期アレルギー性鼻炎患者の実態調査からみえた疾患の特徴
池田 七衣山中 純瑚津田 菜穂子鈴木 裕史荻野 敏
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2013 年 31 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

どのような因子が青年期アレルギー性疾患の遷延に影響するかを調べることを目的に,大学生および開業医に通院中の青年期のアレルギー性鼻炎に対してアンケート調査を行った。アンケート内容は,年齢,性別,アレルギー疾患の現病・既往の有無,それらの発症時期と症状消失時期,家族歴,アレルギー症状による日常生活への影響度合いについてのVASスケールである。分析対象となったのは,一般大学生233名とアレルギー性鼻炎患者95名。結果,分析対象となった大学生のうち,アレルギー性鼻炎(AR)の症状があったのは40.3%,アトピー性皮膚炎(AD)14.2%,喘息(BA)5.6%であった。発症年齢は,AD,BA,ARの順であり,ARが最も発症が遅く大学生,通院患者ともに11歳代であった。ARでは,罹患した90%以上が大学生になっても症状を有していた。さらに,アレルギー疾患に伴う症状による日常生活への影響度合いについては,ARの単独罹患よりも,他のアレルギー疾患を合併している方が大きかった。以上より,アレルギー性鼻炎は大学生,通院患者を問わず小学校高学年が好発年齢であり,発症すると完治することは難しく,その症状が日常生活に与える影響は大きいことが示唆された。

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© 2013 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
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