耳鼻咽喉科免疫アレルギー
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最新号
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原著
  • 川島 佳代子, 奥野 未佳, 山本 雅司
    2020 年 38 巻 2 号 p. 29-36
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    日本において,2018年から小児においても舌下免疫療法が保険適応となり,スギ花粉症あるいはダニに対する通年性アレルギー性鼻炎の小児において治療が開始された。2018年に舌下免疫療法を開始した小児の保護者を対象に,舌下免疫療法を開始するにあたっての懸念事項や開始後の問題点,意識の変化について郵送でのアンケートを実施した。舌下免疫療法を開始するにあたっての懸念事項は,①毎日できるか ②長期間継続できるか ③アナフィラキシーが起こるかどうかの心配 ④局所の副作用の心配などが多かった。また開始後の副作用については ①軽い ②思っていたより軽いと回答した保護者はスギ,ダニともに60%を超えていた。舌下免疫療法開始前と比較し,半数の保護者は開始前との印象に変化がないと回答したが,①アナフィラキシーの不安 ②長期間継続することへの不安 ③局所副作用への不安 ④毎日服用できるかの項目について,約40%の保護者が開始前より安心したと回答した。舌下免疫療法はまだ十分に周知されていない治療法であり,特に小児に対する治療開始に当たっては,医師およびメディカルスタッフが施行する患者および家族にどのような治療法であるかを事前に十分に説明することが求められる。さらに開始後も医療者側が患者や保護者の疑問や不安に随時答えていくことが重要であると考えた。

総説
  • 高野 賢一
    2020 年 38 巻 2 号 p. 37-41
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    かつてシェーグレン症候群の亜型とされていたミクリッツ病は,今日IgG4関連疾患に含まれるIgG4関連涙腺・唾液腺炎として新たに疾患として認識されている。疾患概念が提唱されてからすでに15年以上が経過し,IgG4関連涙腺・唾液腺炎の診断基準も改訂され,顎下腺のみといった病変が1箇所のみの場合も診断可能となり,生検部位として口唇腺も明記された。疫学的にはほとんどが40歳以上の中高年で,他の自己免疫性疾患と異なり性差がない。診断の一助として超音波エコー検査も有用で,顎下腺の輪郭不整やエコー輝度が極めて低い低エコー領域などの所見が認められる。診断時には悪性リンパ腫や類似疾患の除外が重要となる。耳鼻咽喉科領域のIgG4関連疾患として,涙腺・唾液腺のほか,特徴的な鼻副鼻腔炎(嗅覚障害を含む),肥厚性硬膜炎,IgG4関連甲状腺疾患などが含まれる。特に甲状腺疾患では診断基準が作成されており,今後症例の蓄積が望まれる。免疫学的検討などから自己抗体,自己抗原の存在が示唆されているが,IgG4関連涙腺・唾液腺炎ではいまだ同定されず,今後の研究成果が待たれる。

  • 大澤 陽子
    2020 年 38 巻 2 号 p. 43-49
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    花粉・食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome: PFAS)は,「口腔アレルギー症候群」とも呼ばれ,花粉抗原と食物抗原の交差反応によるクラス2食物アレルギーである。症状が口腔粘膜に限局することが多いが,口腔粘膜だけでなく,鼻炎・結膜炎・皮膚炎・呼吸器症状やショックを誘発する場合もある。相同性が高く多種の食物や花粉に共通して存在する抗原(pan-allergen)が原因になることが多く,いったん発症すると様々な花粉や食物にアレルギー反応を起こすようになる。本邦では,PR-10/Bet v1関連蛋白を含むカバノキ科花粉やプロフィリンを含むイネ科花粉によるPFASが多い。スギ花粉単独感作は,PFASのリスクにならない。PFAS原因食物の特異的IgEの証明が困難なことが多く,代用診断として,原因食物と交差反応をする花粉特異的IgEを証明することが推奨される。PFAS予防の基本は抗原除去(食べないこと)であるが,PR-10/Bet v1関連蛋白やプロフィリンによるPFASは,加熱処理により抗原性が喪失し摂取可能となる。しかし,PR-10/Bet v1関連蛋白の代表的抗原であるGly m4(大豆)やLTPによるPFASは加熱処理に抵抗性で注意が必要である。Gly m4特異的IgE測定はすでに保険収載されており活用が期待される。

  • 濱田 聡子
    2020 年 38 巻 2 号 p. 51-56
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    アレルギー性鼻炎患者は本邦においても増加し罹患率は4割近くに達している。労働生産性の低下,医療費の増加による経済的損失も大きく,アレルギー性鼻炎の治療マネージメントは社会的に重要な課題である。アレルギー性鼻炎の手術療法はガイドラインで重症以上の鼻閉型で鼻腔形態異常を伴う症例に対し推奨の治療とされる。鼻腔形態が狭い,また鼻炎の反復発作を繰り返し粘膜肥厚が不可逆に進行し重症化している状態では,薬物療法による効果が期待できないため手術的治療が勧められる。加えて,通年性抗原や多抗原に重複感作があり年間を通じて鼻閉を中心とした症状のある患者,他の治療法が適さない患者に対しては手術療法が適している。実際の手術方法は ①レーザーなどの下鼻甲介の粘膜層を変性させ局所のアレルギー反応を抑制する変調手術,②粘膜下下鼻甲介切除術,鼻中隔矯正術などの鼻腔形態を整復し鼻閉を改善する手術,③後鼻神経切断術など鼻汁を抑制する手術である。鼻内内視鏡や医療機器の発展により微細な施術が可能となり,低侵襲で効果の高い術式が開発されてきている。手術療法は,保存療法で効果が得られない患者にとって,症状緩和できる最終的な治療となる可能性があるため,各々の患者の症状にあわせた最適な手術を施行することが望まれる。

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