耳鼻咽喉科免疫アレルギー
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特集『第31回学会ミニシンポジウム:好酸球』
好酸球性副鼻腔炎における術前後上下気道評価について
朝子 幹也濱田 聡子大岡 久司小林 良樹林 佑伊子河本 光平島野 卓史神田 晃友田 幸一
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2013 年 31 巻 3 号 p. 231-235

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抄録
One airway,one diseaseの概念にも示されているように,気道炎症では上気道と下気道とはお互いに関連して病態,症状形成に関与していると考えられる。好酸球性副鼻腔炎は成人発症喘息を伴うことが多く,上下気道に気道炎症が認められ,総合的な判断を要する疾患であるといえる。しかし,現状では耳鼻科医が上気道の評価を,呼吸器内科医が下気道の評価を別個に行っていることが多い。呼吸機能検査や副鼻腔の画像評価は重要であることは間違いないが,症状の把握のために上下気道の総合的な評価法の確立は非常に重要である。
今回の検討からは末梢血好酸球数は好酸球性副鼻腔の重症度を反映しなかったが,肺機能とは相関を認めた。好酸球性副鼻腔炎では上気道だけでなく,下気道炎症の把握が重要と思われた。また,上下気道の粘液繊毛運動機能を反映するサッカリンタイムは好酸球性副鼻腔炎患者において健常人と比して有意に延長を認め,粘液繊毛運動機能の低下が認められた。一方,手術治療により好酸球性副鼻腔炎患者の末梢気道抵抗の改善がみられた。好酸球性副鼻腔炎に対する手術治療が,成人発症型喘息の発症・増悪に対する有効な早期介入となる可能性が示唆された。
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© 2013 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
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