耳鼻咽喉科免疫アレルギー
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総説
好酸球性中耳炎とペリオスチン
松原 篤西澤 尚徳高畑 淳子
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2016 年 34 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

気管支喘息に合併する難治性中耳炎は,松谷らによって1995年に好酸球性中耳炎として命名された。好酸球性中耳炎の最大の特徴は,非常に粘稠な中耳貯留液に豊富な好酸球浸潤が認められることである。過去の20年の間に,数多くの研究者により,徐々にその病態が明らかにされつつある。
ペリオスチンは,元々は単離された骨芽細胞培養系から発見された細胞外基質タンパク質であるが,アレルギー疾患において重要な役割を果たしていると考えられている。気管支喘息においては,粘膜上皮下の線維化に関与している。好酸球性中耳炎においては,気管支喘息合併の有無に関わらず好酸球性中耳炎症例の中耳粘膜にペリオスチンの陽性反応が,また,好酸球性中耳炎のモデル動物においても同様にペリオスチンの陽性反応が認められた。以上から,ペリオスチンは好酸球性中耳炎の病因に重要な役割を果たしていることが示唆された。

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© 2016 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
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