産業動物臨床医学雑誌
Online ISSN : 2187-2805
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原著
牛白血病ウイルスのプロウイルス単クローン性組込みが証明された21カ月齢黒毛和種肥育牛の地方病性牛白血病
前澤 誠希嘉陽 静香三浦 沙織小熊 圭祐泉對 博堀内 雅之古林 与志安古岡 秀文猪熊 壽
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2016 年 6 巻 4 号 p. 161-164

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抄録

21カ月齢黒毛和種肥育牛が下顎と耳下の腫瘤を主訴に受診した.臨床検査により体表リンパ節腫大が見られ,耳下腺リンパ節の細針吸引による細胞診で,中・大型異型リンパ球が約90%認められた.血液および血液生化学検査では著しいリンパ球増多,乳酸脱水素酵素および血清チミジンキナーゼ活性の高値が認められた.牛白血病ウイルス(Bovine leukemia virus:BLV)抗体およびBLV遺伝子を検索したところ,どちらも陽性を呈した.病理学的検査では全身のリンパ節腫大が認められ,また組織学的検査で,B細胞型の牛白血病と確定診断された.さらに,inverse-polymerase chain reaction(PCR)法により,BLVプロウイルス単クローン性組込みが確認され,本症例は地方病型牛白血病(Enzootic bovine leukosis:EBL)であると診断された.これらの結果より,EBLは3歳未満でも発症することが証明された.

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© 2016 日本家畜臨床学会・大動物臨床研究会
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