法と心理
Online ISSN : 2424-1148
Print ISSN : 1346-8669
友人間の物の貸借場面にみられる貸主と借主の所有感の変化に関する一考察
小湊 真衣
著者情報
キーワード: 所有, 貸借
ジャーナル オープンアクセス

2011 年 10 巻 1 号 p. 110-122

詳細
抄録

本実験調査の目的は、友人間で行われる物の貸し借り場面において、「対象物をどの程度自分のものだと思うか(所有感)」がどのように変化するかを検討することであった。大学および専門学校の学生486名(男性196名・女性290名、平均年齢20.38歳)を対象としたシナリオ式質問紙実験を行い、(1)友人に(本・ボールペン・ノート)を貸して(2・3日、10日、1ヶ月、1年、5年)が経過した場合、貸与物をどの程度自分の物だと感じるか、(2)友人から(本・ボールペン・ノート)を借りて(2・3日、10日、1ヶ月、1年、5年)が経過した場合、借用物をどの程度自分の物だと感じるか、(3)(1)の場合においてどの程度その貸与物の返却を催促しやすいか、(4)(2)の場合においてその借用物をどの程度返さなくてはならないと感じるか、を尋ねた。その結果、物を貸している期間が長くなるほど、その物に対する貸し手の所有感は減少し、借り手の所有感は増加する可能性が示唆された。また、返却に対する意識や催促に対する意識も貸し借りを行う中で変化していく可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2011 法と心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top