法と心理
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「司法臨床」の概念 : わが国の家庭裁判所を踏まえて(<特集>「司法臨床」の可能性:司法と心理臨床の協働をめぐって)
廣井 亮一
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 11 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

「司法臨床」とは、司法的機能と心理臨床的機能の交差領域に生成する問題解決機能によって、子どもや家族の問題を適切に解決することである。司法と心理臨床の機能を併せ持つわが国の家庭裁判所における実践過程を振り返ると、両者の機能が乖離したり、司法的機能が強調され過ぎて心理臨床的機能が著しく低下したりしている。司法臨床の実現にとって困難な主要因として、司法と臨床の間題解決機能が派生する両者の基本的枠組みの相違が指摘される。それゆえ、司法臨床の展開のためには、法と心理臨床の価値や方法論の違いをそれぞれ尊重し合いながら、現代社会が直面する問題や紛争解決のために、両者の枠組みをダイナミックにぶつけ合うことが必要である。そうすることによって、特定の領域に限られつつある法と心理学の協働が更なる発展に向かうものと思われる。

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© 2011 法と心理学会
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