2016 年 2016 巻 26 号 p. 16-22
本症例は,初診時年齢21歳8か月の女性で前歯部には開咬,下顎骨の後退位による骨格性の上顎前突を認めた.また,舌癖を認めたことから,筋機能療法を早期に開始し,上顎第一小臼歯,下顎第二小臼歯の抜去を行い,上下顎歯列にプリアジャストリンガルエッジワイズ装置を装着し,矯正治療を行った.その結果,1歯対2歯のⅠ級大臼歯関係を確立し,良好なoverjet,overbiteおよび緊密な咬頭嵌合が得られた.保定開始から2年2か月を経過した後も,安定した咬合関係を保っており,患者の十分な満足が得られた.