日本舌側矯正歯科学会会誌
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最新号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 竹信 俊彦
    2024 年2024 巻34 号 p. 7-12
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
    顎矯正手術において,矯正歯科医と外科医の病診連携で大切なことは,大きな治療方針の共有と患者背景の共有である.矯正歯科医と外科医が患者満足度向上のために共有すべき事項について述べる.1,上顎後方移動は最後の手段とする.2,骨格性開咬症の術前治療では開咬を閉鎖する必要はない. 3,骨格性下顎前突症の術前矯正では後方移動量を作る必要はない.4,オトガイ形成は二期的に行う方が良い. 5,顔面非対称症・下顎後退症は上下顎手術が望ましい.6,最終咬合は必ず矯正歯科医が決定する.7,醜形恐怖症・うつ病患者では顎矯正手術によって症状は改善しない.回避できるトラブルを抱える患者に介入しないことが,患者満足度に繋がる.
  • 天野 敦雄
    2024 年2024 巻34 号 p. 13-17
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
    う蝕も歯周病もバイオフィルムの高病原化により発症する.バイオフィルムの高病原化をdysbiosisと呼ぶ.dysbiosisは,バイオフィルムを取り巻く 栄養,温度,pH,嫌気度などの環境変化によって悪玉菌(う蝕原菌または歯周病原菌)が活性化し増殖し,バイオフィルムの病原性を高める現象のことである.dysbiosisによって,バイオフィルムは安定した状態(symbiosis)から高病原性状態へとシフトする.その結果,バイオフィルムの攻撃力と歯・歯周組織の防御力の均衡が崩れ,う蝕と歯周病が発症する.  う蝕のdysbiosisは複数の酸産生菌に対して,発酵性糖質(砂糖,ブドウ糖,果糖,乳糖,調理したデンプン)が与えられることにより始まる.また,歯周病のdysbiosisは,古くなったバイオフィルム内で始まる細菌同士の栄養共生などから始まり,歯周ポケットからの出血によりバイオフィルムにタンパク質と鉄分が与えられ本格的に起こる.う蝕と歯周病の予防と治療はdysbiosisの除去に他ならない.
  • 「歯科治療を成功させるために必要なこと」
    木原 敏裕
    2024 年2024 巻34 号 p. 18-22
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
    歯科治療を成功させるためには一つずつのテクニックを確実に行うことも重要であるがそれ以上に大切なことは術前の診断を的確に行い,治療計画をしっかりと立案するということである.  日本の歯科界では「診断をやっています」と言うがそれは保険診療に基づいた経験上の診断であり,本当の意味での診断はほとんどなされていないと考える.  私が大学を出た頃はインプラントも CAD/CAM もなかったが今はそういった時代ではない.  歯列が正しく,インプラントでしっかりと噛めて,審美修復が出来ないと患者さんは満足しない,という時代になったにも関わらずまだまだ歯列不正のままにパーシャルデンチャーが入り色の悪い補綴物が存在していると思われる.  補綴を行う私としては歯列さえ整っていれば補綴は難しくはないが多くの症例で歯列不正が存在し,患者側もできれば矯正治療はしたくない,という状況に数多く出会うことがある.  しかし,やはり歯列が整っていなければ何をしても崩壊への道をたどっていくことは明白である.  咬合,ペリオ,エンド,インプラント,矯正,補綴,をバラバラに考えるのではなくそれらの事柄を総合的にとらえて診断を行い,治療を終えることが目的なのではなく治療が終わってからいかに長期に渡って安定した状態を保つのかということを目的に考えていただきたいと思う.  今回は臨床例を通じて治療を行う前に何を考えるのか,治療に入れば何をしなければいけないのかということを中心にこれからの日本の歯科界の進むべき道を一緒に考えていきたいと思う.
  • Didier FILLION
    2024 年2024 巻34 号 p. 23-31
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
  • 伝法 昌広
    2024 年2024 巻34 号 p. 32-47
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
    Patients eligible for comprehensive dental treatment have some form of dental problem. By diagnosing and improving how the problem occurred, it is possible to prevent similar problems from occurring in the future. The goal of orthodontic treatment in comprehensive dentistry is to simplify treatment and stabilize treatment outcomes for a long time. For long-term stability, it is important to achieve Mutualy Protected Occlusion and to give the molar disclusion during lateral and forward movements. So, what can orthodontic treatment do in comprehensive dental treatment? It can be broadly classified into four categories. It is to restore a tooth that has moved abnormally (recovery), to create periodontal tissue by moving the tooth (regeneration), to align the dentition that has an adverse effect (reconstruction), and to avoid tooth extraction by moving the tooth (save). In addition, lingual orthodontics is compatible with comprehensive dental treatment due to the need for a set-up model, the strength anchorage of the mandibular anterior teeth, and the ease of control of the lingual cusp. Orthodontic treatment can be beneficial in comprehensive dental care by ensuring the use of appropriate mechanics with an accurate diagnosis.
  • 上間 京子
    2024 年2024 巻34 号 p. 48-50
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
  • 髙柳 譲司, 長谷川 尚哉, 上鵜瀬 美咲
    2024 年2024 巻34 号 p. 51-55
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
    リンガル矯正において,セットアップモデルは治療結果に大きく影響することは周知の通りである.そこで,デジタルセットアップとアナログセットアップ,双方の利点を融合させたハーフデジタルセットアップを考案した.今回,ハーフデジタルセットアップをより簡便に,精度の高いものに改良したので供覧させていただきたい.
  • 藤城 洋介
    2024 年2024 巻34 号 p. 56-68
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
    セットアップにオーバーコレクションを組み込むか否かは意見が分かれるところであり,弊社で受注する割合も両者ほぼ同じである.  アイデアルセットアップには治療ゴールを明確にしてワイヤーのシンプル化を図り,適切なカスタムベースを製作する役割がある.  一方,ケースに応じたオーバーコレクションを組み込むことで,ノーベンドとはいかないがチェアサイドでのワイヤーベンドを極力減らすことができる.  リンガル矯正の経験豊かな先生であれば蓄積された結果から自身の治療に合ったオーバーコレクションの指示を仰ぐことができるが,セットアップ設計相談をする中で技工士の意見を求められる場面も多い.  今発表では矯正医と技工士のセットアップ設計相談がスムーズになるよう,指示の出し方について実例を挙げて紹介する.  また,オーバーコレクションを入れる際の基準も示し,曖昧になりがちなオーバーコレクションを整理して治療のシンプル化に役立てばと思う.
  • 比知屋 憲, 古谷 直樹
    2024 年2024 巻34 号 p. 69-75
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
    舌側矯正の診断と治療方針に基づいてセットアップの処方を決定することは大変重要な要素である.正しい処方で適切な歯牙移動が行えると,よりシンプルで無駄のない円滑な治療が可能と考える.そこで,ストレートワイヤー法でスライディングメカニクス用のオーバーコレクションの設定値を考案し,処方値を正確にフィードバックしたセットアップの製作方法や先行する片顎の選択基準を紹介する.そして,それらの計算方法に基づき算出したものを組み入れた症例において良好な治療結果が得られたので合わせて発表した.本稿では,誌面の限りがあるので,骨格性Ⅰ級上下顎前突症例について説明する.
  • 田ヶ原 昭弘
    2024 年2024 巻34 号 p. 76-81
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
    矯正治療期間の短縮やフェノタイプの改変を目的としてコルチコトミーが有効だと言われている.しかし,一般的に紹介されているコルチコトミーの術式は患者への侵襲が大きいことが欠点である.またコルチコトミーの効果は4か月を超えると骨のリモデリングが進み歯の移動促進効果は弱くなると考えられる.また第三大臼歯を抜歯する症例や小臼歯抜歯の症例では,抜歯したことによる外科的侵襲のためにコルチコトミーをしなくても前歯部のレベリングの時期には歯の移動は促進されている可能性がある.そのためコルチコトミーを行う時期としてはレベリングの時期よりも抜歯空隙閉鎖時に行う低侵襲な局所的コルチコトミーの方が有効だと考えられる.そして臨床的な手技としては,大きな歯肉剥離は行わずに縦切開だけを移動させたい歯の近遠心に入れ,皮質骨から海綿骨に達するグルーブを深く入れ.骨のグルーブに骨ノミを挿入して移動させたい歯が動揺するのを確認する.この方法が現在のところ外科的侵襲の程度と歯の移動促進効果のバランスが最もとれた方法だと考えられる.
  • 長谷川 尚哉, 髙柳 譲司
    2024 年2024 巻34 号 p. 82-90
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
    歯科矯正用アンカースクリューが矯正歯科治療時の絶対的固定源として広く用いられるようになり,従来の方法では困難であった歯の移動を患者のコンプライアンスに影響されず効率よく行えるようになった.特に,リンガルブラケット矯正法では,舌側に装置が位置することから,口蓋部に植立した歯科矯正用アンカースクリューより直接的に矯正力を付与することが可能であり治療成績の向上に大きく寄与している.今回,リンガルブラケット矯正法と歯科矯正用アンカースクリューを併用し,Angle Ⅱ級の改善と正中の改善を行い良好な結果を得た2例を報告する.
  • 山本 浩司, 矢島 絵理子, 永木 恵美子, 高柳 譲司, 伝法 昌広, 疋田 拓史, 上田 直矢, 前田 千智, 飯田 資浩, 壺内 建行
    2024 年2024 巻34 号 p. 91-135
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
  • 倉島 茂樹, 玉川 幸二, 塩田 敦子, 近川 美喜子, 姫野 祥子, 永木 恵美子, 田尻 貴子, 重枝 徹, 相澤 一郎, 佐藤 英彦
    2024 年2024 巻34 号 p. 136-192
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
  • 植木 雅士, 奥田 友理子, 前川 裕亮, 吉田 賢正
    2024 年2024 巻34 号 p. 193-221
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
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