日本舌側矯正歯科学会会誌
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大臼歯固定型Palatal Lever Arm System (PLAS)を用いた舌側矯正治療
宮本 豊 菅崎 弘幸中村 芳樹
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2018 年 2018 巻 28 号 p. 6-22

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抄録
歯科矯正用アンカースクリューを用いることにより,これまで難しいとされていた歯の移動を行うことができる一方,歯列外から矯正力が加わるため,様々なサイドエフェクトが生じる.大臼歯固定型Palatal Lever Arm System(PLAS)は,口蓋正中部に植立したアンカースクリューからPLASを介して第一大臼歯を固定することで,臼歯部の絶対固定を得られる.また,第一大臼歯のサイドエフェクトの防止や片側側方拡大など,従来の補助的装置では困難とされる歯の移動が可能である. 症例1 : 25歳女性.上顎前突を主訴に来院した.overjetは11.3mmと大きく,skeletal Class IIを示した.下顎左側第二小臼歯はspace不足により舌側転位していた.上顎両側第一小臼歯,および下顎左側第二小臼歯を抜去し,リンガルマルチブラケット装置および大臼歯固定型PLASを用いて治療を行った.上顎第一大臼歯の絶対固定が得られ,適正なoverjetを獲得することができた. 症例2 : 20歳の女性.叢生を主訴に来院した.左側臼歯部は交叉咬合を呈し,上顎左側側切歯が舌側転位していた.犬歯はII級関係で,小臼歯部は1歯対1歯の咬合関係を呈していた.上下顎両側第一小臼歯を抜去し,リンガルマルチブラケット装置および大臼歯固定型PLASを用いて治療を行った.上顎第一大臼歯の絶対固定が得られ,またPLASの左側アームを頬側に活性化することにより,左側臼歯部の交叉咬合を解消することができた.
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© 2018 日本舌側矯正歯科学会
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