小学校5年生と6年生の典型発達児8名と発達性読み書き障害児7名を対象に, 仮名実在語と仮名非語の音読に単語長が及ぼす影響を検討した. 誤読率は両群で同程度である一方, 発達性読み書き障害児群の音読潜時は典型発達児群の音読潜時よりも有意に長かった. また, 両群に共通して有意な単語長効果と語彙性効果が認められた. 典型発達児群では, 単語長と語彙性の有意な交互作用が認められたが, 発達性読み書き障害児群では交互作用は認められなかった. 本研究における発達性読み書き障害児群は, 仮名実在語と仮名非語音読の正確性に学習到達度の遅れを示さなくなったとしても流暢性の問題が残ってしまっている可能性が示唆されたのではないかと思われた. 流暢性の障害は, 非語彙的な処理から語彙的な処理への移行が未成熟であること, 非語彙的な処理速度が典型発達児群ほど発達していないことの両者によって生じている可能性が高いのではないかと考えられた.