2014 年 55 巻 1 号 p. 1-7
本研究は,喉頭摘出者368名を対象に,手術後経過年数と心理的状態の関連について検討することを目的とした.
相関分析の結果,自己肯定意識との相関は見られなかったが,否定的感情は手術後経過年数と負の相関が見出され,手術後1年目が高いことが示された.また分散分析と多重比較の結果,手術後3年目までの間に否定的感情に共通した変動が見られ,その一部は5年目に最も高くなることが明らかとなった.
本結果から,喉頭摘出者への心理的支援は手術後1年目と5年目が特に重要であること,そして,それぞれの時期とその感情の特徴に合わせて心理的支援を行う必要性が考察された.