音声言語医学
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原著
喉頭全摘出後のvoice prosthesisを使用した症例の音声機能評価
前田 恭子増山 敬祐
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2017 年 58 巻 3 号 p. 216-222

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抄録

喉頭全摘出後のvoice prosthesisを用いた代用発声は,音声獲得率が高く術後早期から音声コミュニケーションが可能になることが利点である.2011年6月から2013年6月までにProvox® 2による音声再建を行った14例に対し,術式ごとVHI-10,MPT,発話明瞭度,サウンドスペクトログラムを用いて音声機能評価を施行した.T-E(下咽頭粘膜縫縮)群ではMPTが長いほど発話明瞭度が良好であったが,T-JT-G(遊離空腸および胃管再建)群では関連しなかった.サウンドスペクトログラムでは,T-E例ではより周期的な倍音成分が観察され,T-J例では非調和成分が強く,T-G例では周期的成分はやや粗雑で非調波成分と重なって観察された.全例退院までに音声獲得可能であったが,T-E群の2例で通院中に咽頭収縮筋の過緊張による発声困難を発症しリハビリテーションを要した.再建術式により獲得される声質は異なり,音声生成過程を考慮したリハビリテーションが有用と思われた.

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© 2017 日本音声言語医学会
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