音声言語医学
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原著
吃音のある児童が学校・家庭で周囲に求める対応や支援に関する要望について
飯村 大智石田 修
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キーワード: 吃音, 児童, 支援, 実態調査
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2018 年 59 巻 4 号 p. 318-326

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抄録

学齢期の吃音児の学校生活や家庭などの場面における,吃音による困難感の実態や周囲の支援の必要性の実態が示されつつある.一方で吃音児が実際に求めている配慮内容は十分に明らかになっていない.本調査では通級指導教室に通う吃音児25名を対象とし,周囲への要望に関する質問紙調査を実施した.友達,担任の先生,家庭のそれぞれに対し「苦手な場面」「求める対応」「その理由」について自由記述をKJ法で分類し構造化した.いずれの相手でも「言葉が出るまで待つ」「普通に接する」が多く抽出されたが,担任の先生には「友達に伝えてもらう」,家庭では「ゆっくり話す・聞く」など相手によって求める対応の仕方が異なることがわかった.苦手な場面としては「発表」「音読」が多く,対応してほしい理由としては「自分で言いたい」「言いやすくなる」「落ち着いて話せる」などが挙げられた.また低学年に比べて中・高学年では周囲への要望が増え,多様化することも示唆された.

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© 2018 日本音声言語医学会
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