音声言語医学
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ひらがな単語の語彙的属性が健常成人の書取潜時と所要時間に及ぼす影響
明石 法子三盃 亜美宇野 彰
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2020 年 61 巻 3 号 p. 205-210

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抄録

単語の語彙的属性には,文字媒体における出現頻度や,主観的ななじみの程度を表す親密度があり,音読や書字の流暢性に影響を及ぼすことが明らかになっている.しかし,これらの属性は書取のような文字言語表出場面を想定した尺度ではない.本研究では,ひらがな単語を日常の書字や機器による入力でどの程度使用するか,すなわち常用度を従来の語彙的属性に加え,健常成人の書取潜時や所要時間に及ぼす影響について検討することを目的とした.健常成人30名にひらがな単語226語の書取課題を実施し,単語属性効果について分析した.その結果,書取潜時には主に文字単語の親密度が,所要時間には主に常用度が強い影響を示し,書字運動中も語彙的な処理が持続している可能性が示唆された.語彙的属性が書取の流暢性に及ぼす影響を検討する場合,出現頻度だけではなく親密度や常用度も尺度として用いる必要があると考えられる.

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© 2020 日本音声言語医学会
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