音声言語医学
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原著
失語症者における呼称課題条件と言語性保続の発生
玉置 円中村 光
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2020 年 61 巻 3 号 p. 230-236

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抄録

本研究の目的は,条件を統制した呼称課題を実施し,失語症者の言語性保続減少のための基礎データを得ることである.研究1では,失語症者22名(男性14名,女性8名)に対し,刺激項目(絵カード)の意味カテゴリー(動物/道具),色情報の有無(白黒/カラー),提示間隔(1秒/10秒)を操作した呼称課題を実施した.その結果,保続の出現数に対しカテゴリー,およびカテゴリーと提示間隔の組み合わせが関連する可能性が示された.そこで研究2として,提示間隔に20秒条件を加え,刺激提示方法をより厳密に操作した呼称課題を失語症者28名(男性18名,女性10名)に実施した.その結果,動物カテゴリーにおける保続は道具カテゴリーよりも高頻度で減衰しにくいことが確認された.保続が多く出現する患者には,非生物カテゴリーを中心とした訓練プログラムを立案することで,保続を抑制して言語機能訓練が提供できる可能性が示唆された.

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© 2020 日本音声言語医学会
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