2020 年 61 巻 3 号 p. 252-257
声帯結節と竹節状声帯を呈した全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE)例を経験した.症例は29歳女性.嗄声を認め当科受診した.声の酷使があり喉頭所見では両声帯膜様部中央に声帯結節を認めたほか,それとは別に膜様部中央と声帯突起のほぼ中間に乳白色状の竹節状の結節を認め,ストロボスコピーで左右位相のずれ,声門上部の前後径短縮が見られた.音声治療を実施したところ器質的病変に顕著な変化は見られなかったが,自覚的・他覚的に嗄声が改善した.
本症例の機序として,声の酷使によってまず声帯結節が膜様部中央に出現し,そのため声帯結節のある声帯膜様部中央と声帯突起のほぼ中間部の振動が大きくなり,免疫複合体が沈着して竹節状の結節が出現したと考えられた.音声治療は竹節状声帯への直接的な効果は期待できないが,声の酷使など機能性要因がある場合は積極的に考慮すべきと考えられた.