音声言語医学
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症例
出生時より二重声を認めた男児の1例
宮本 真齋藤 康一郎
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2023 年 64 巻 4 号 p. 252-256

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抄録

二重声とは,聴覚的に異なるピッチが同時に聴覚される音声とされる.聴覚印象,もしくは喉頭ストロボスコピー検査やハイスピードカメラにより左右声帯振動の非対称性が観察される.
今回出生後から嗄声を認め,聴覚的に二重声を認める児を経験した.喉頭内視鏡検査で啼泣時に披裂部が前傾して声門部分を覆うような所見を認め,声門部分と声門上の2ヵ所が音源になっていることで二重声をきたしていると考えた.二重声の評価として,音響分析器を用いて啼泣時の音声を解析,周波数ヒストグラムで2峰性の基本周波数を確認した.成長とともに二重声は消失し周波数ヒストグラムも二峰性から一峰性となった.新生児の嗄声の評価として聴覚印象とともに音響分析が有用であった.

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© 2023 日本音声言語医学会
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