2024 年 65 巻 1 号 p. 7-13
本研究は,吃音児に対するテレコミュニケーションを用いたオンラインによるLidcombe Program(リッカムプログラム,以下LP)の有用性を検討することを目的とした.オンラインLPを実施した17名『オンライン群』の結果を後方視的に調査し,対面式LPのみを実施した22名『対面群』の結果と比較検討した.保護者が評定した吃音重症度評定(以下SR)と言語聴覚士が評定したSRについて,16回のLP指導の前後および2群間で比較した.両群とも指導後のSRは指導前のSRに比して統計的に有意な改善傾向が認められた.『対面群』と『オンライン群』の間に有意差は認められなかったことから,オンラインLPの効果は少なくとも16回までの指導において対面式LPに劣らない可能性が示唆された.今後は吃音が寛解するまでに要する期間,寛解後の吃音再発率なども両群で比較し,オンラインによるLPの有用性を検証する必要がある.