東京都内難聴学級に通級し, 普通学級に在籍する高度聴覚障害児 (7~11歳) 60例を対象として自由発話の音声を音響的, 聴覚心理的に分析し, 幼児期の教育環境の要因について検討した.その結果, (1) 聴覚心理的評価では, 幼児期の環境要因の差は, 100dB未満の症例に認め, 正常者の音声に接する機会の多い統合群の音声は, ろう学校経験群より良好であった. (2) 音響的分析では, 発話速度と抑揚について同様の結果を認め, 話声位には, 環境要因による差はなかった. (3) 発語明瞭度では, 正常児統合群はろう学校経験群より良好であった.本結果から, 100dB未満の聴覚障害児については, 幼児期に正常者の音声に接する機会を多くすることが, 音声の改善に良好であることが示唆された.