1986 年 27 巻 4 号 p. 280-286
失語症者の文理解において, 格ストラテジーがみられるかどうかを絵画選択法により検討した.対象は失語症者27名であり, 課題文は3文節文と2文節文であった.
実験の結果, 1名を除いて本研究で対象とした失語症者に格ストラテジーは認められなかった.また, 3文節文で語順ストラテジーを使用できない者, あるいは助詞ストラテジーを使用できない者のなかには, 2文節文では助詞を手がかりとして理解できる者が多くみられた.
以上のことから, 助詞ストラテジーは3文節文と2文節文の2つのレベルにわけて考える必要性が示唆された.