音声言語医学
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再建食道による発声例の有声無声弁別
渋沢 三伸
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1990 年 31 巻 3 号 p. 297-302

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抄録

咽頭食道再建術を受けた症例は, 一般には食道発声の獲得が困難であるが, なかにはかなり明瞭度のよい食道音声を獲得した症例も存在する.食道発声における語音調節のうち特に原音発生部位の微妙な調節を必要とする有声, 無声のだしわけについて検討した.対象とした食道発声者は5名であった.このうち1名については発声時の食道内圧測定を行って, その発声の機序について考察した.有声, 無声のだしわけは対象によりその正確さにかなりの差があったが, 無声破裂音が有声化して異聴される傾向はすべての例に共通であった.食道内圧測定を行った1例では, 発声時に前頚部を手指で圧迫することにより, 咽頭食道接合部に急激な圧勾配をつくりだし, 原音発生のてがかりとしていた.

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© 日本音声言語医学会
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