1991 年 32 巻 4 号 p. 347-353
舌切除後, 種々の皮弁を用いた再建手術を受けた10症例について, 発話明瞭度判定を中心とした評価を行った.10例中, 4例については, 言語訓練を実施し, 訓練前後の単音節・単語明瞭度を比較した.
明瞭度判定の結果はおおむね先行研究の結果と一致するものであったが, 切除範囲と明瞭度との関係, 術後の経過期間と明瞭度との関係については, 必ずしも先行研究結果とは一致しなかった.言語訓練の結果, 4例中2例で明瞭度の明らかな改善が得られた.
これらの結果をふまえて, 舌切除後の構音障害の特徴, 明瞭度判定の方法論上の問題, 言語訓練の適応基準, 言語訓練効果について考察した.