音声言語医学
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精神発達遅滞児の早期言語指導における療育手段として象徴遊びの適用に関する一考察
小山 正
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1994 年 35 巻 1 号 p. 19-28

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抄録

精神発達遅滞児に対する言語獲得を目的とした早期言語指導における療育的手段として, 象徴遊びの適用をめぐっては, 多面的な資料が必要な段階である.
著者は, 象徴遊び, 言語が未出現である境界線から中度の精神発達遅滞児11例に対し, 子どもが興味を持ち, 象徴遊びを展開できる場を2週間に1回の個別指導の中で設定してきた.本稿では, そのような情況設定の中で対象児の行動発達における変化を検討した.
平均8.5ヵ月の指導の結果, 全例に要求行動, 発声行動, 共同注意の発達がみられ, 9例に1語発話が出現し, そのうち5例に1語発話増大が認められた.言語未獲得であった2例においても対物行動では進展がみられるなど, 本研究での個別指導の中で設定した象徴遊びを子どもが発展できる場は意義があると考えられた.これらの結果を踏まえ, 本稿では象徴遊びを彼らの早期言語指導に組み込むうえでの今後の研究的課題について言及した.

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© 日本音声言語医学会
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