音声言語医学
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乳児音声における感性情報表出の発達と個人差の検討
志村 洋子今泉 敏
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1994 年 35 巻 2 号 p. 207-212

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抄録

乳児6名の6, 9, 12, 17ヵ月齢の泣き声を含まない音声を対象に, 成人聴取者による感性情報の聴取実験を行い, 乳児の音声を通した感性情報表出能力の発達的様相を検討した.その結果, 乳児音声から成人が聴取する感性情報では, 乳児間の差異, 乳児内の月齢問差異が有意であった.しかし, 月齢とともに一貫して増加するなどの発達傾向は「話す」など一部の感性情報にしか観測できなかった.また, 快・不快に関連した因子は月齢に依存せず一貫して出現した.これらのことから, 音声上の感性情報表出は6ヵ月齢でも豊かであり, かつ, 乳児間変動, 個人内月齢問変動も大きいことが明らかになった.音声の非言語的要素を通してコミュニケーション行動を行うのに必要な音声を, 言語運用能力が発達する以前の6ヵ月齢乳児でも発声できることが立証された.

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© 日本音声言語医学会
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