音声言語医学
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人工喉頭音声
坂倉 淳
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1998 年 39 巻 4 号 p. 443-449

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抄録

人工喉頭音声の現況と問題点を知る目的で京阪地区の喉摘者971名を対象としてアンケート調査を実施し, 681名から回答を得た.その結果, エレクトロラリンクス使用者の割合が増え, 笛式人工喉頭と食道音声使用者は減少していることが分かった.また, 高齢者ほど人工喉頭の使用者の多いことが判明した.
喉摘者の自覚的満足度を調べると, 笛式人工喉頭は満足度が最も高く, エレクトロラリンクスは, 最も低いという結果になった.笛式はエレクトロラリンクスに比べ, ほとんどの年齢および使用年数で高い満足度を示した.また, 会話のみならずQOL全体に対する評価では, 笛式は満足度が高く, エレクトロラリンクスは低い結果となった.
高齢化の進みつつあるわが国では, エレクトロラリンクスの果たす役割は大きく, 一方, 笛式人工喉頭も, 今なお, その価値を失っていないことが確認された.効果的な発声指導のためには医師やSTと喉摘者の連携が重要と考えられた.

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