音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
Print ISSN : 0030-2813
ISSN-L : 0030-2813
難聴児にみられた自傷行動と常同行動
武田 篤及川 絵美子村井 盛子千葉 隆史村井 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 40 巻 4 号 p. 314-319

詳細
抄録

当科で言語訓練を実施した難聴児110例中13例 (11.8%) に頭を壁や床にぶつける, 髪の毛をひっぱるなどの自傷行動や常同行動がみられた.これらの行動は早いもので生後5~6ヵ月頃, 遅くても1歳前後に出現していた.難聴の他に合併症を有するものに多くみられ, なかでも視覚障害を合併したものは全例で出現していた.これらの行動は補聴器を常時装用し, 聴覚補償が達成されれば消失した.したがって, 音声言語の獲得が難しいような重複障害を持つ難聴児に対しても補聴器の装用指導を積極的に行うべきと思われた.これらの行動の発現には, 母子間の相互作用や愛着性を十分図れないことが関与していると推測された.また, これらの行動は遅くとも1歳前後には出現しているので, 1歳6ヵ月児健診などでこれらの行動の有無を確認することにより難聴児を発見できる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 日本音声言語医学会
次の記事
feedback
Top