音声言語医学
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〈S-S法〉からみた言語発達遅滞
小寺 富子
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1999 年 40 巻 4 号 p. 372-377

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抄録

〈S-S法〉は, 臨床現場で作られた, 言語発達遅滞に対する総合的な評価・訓練法である.〈S-S法〉には, 言語行動への3側面からのアプローチ, 評価と訓練が結びついている (評価の結果ある程度自動的に方針が得られる) , 言語未習得から習得に至る事象系と記号系の連続性, などの特徴があるが, 本論文では, 言語記号の持つ性質と言語訓練との関係に焦点をあててその特徴が述べられた.すなわち, 臨床的なニーズに応えるために, 言語理解のプログラム, 言語理解と音声表現の関係に関する知見, 初期の質問―応答のプログラム, など現在の到達点のいくつかが紹介された.これらのプログラムの形成や展開に関して, 言語記号の持つ“有縁性・恣意性”“示差性”“連辞関係・範列関係”といった性質が重要であった.

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© 日本音声言語医学会
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